社会福祉法人 経営分析「人件費率」を計算してみよう!

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独立行政法人福祉医療機構の経営分析参考指標

独立行政法人福祉医療機構のこちらのページ 経営分析参考指標|WAM に、法人・施設種別ごとに決算の数字から計算した経営分析参考指標が公開されています。

例えば、2018年度(平成30年度)社会福祉法人の経営状況 を開いてみると、

”人件費”という項目があります。単位はパーセントで、2017年度は 66.8%、2018年度が 67.1%となっています。

これらの数字は、福祉医療機構の説明によると、

当機構では、福祉貸付・医療貸付をご利用いただいているお客さまより毎年ご提出いただく決算書のデータをもとに、「 経営分析参考指標」を作成し、有料頒布しております。

とのことで、社会福祉法人の決算データを元に計算された、全国的な基準になり得る数字であることが分かります。(貸付を利用しているという偏りはあるかもしれませんが。)

人件費率の計算方法

では、2017年度の 66.8%、2018年度の 67.1%を基準とすると、例えば、「自分が働いているところは、収入のうちどれくらい人件費として支給しているのだろう?」と知りたくなりませんか。

そこで、人件費率の計算方法です。

サービス活動収益に対するサービス活動費用の割合のうち、人件費が占める割合、これが人件費率になります。

つまり、人件費率は「人件費 ÷ サービス活動収益」となります。

実際の計算は、事業活動計算書に記載されている「人件費」と「サービス活動収益」を使って計算します。

社会福祉法人の現況報告書等情報検索を利用

社会福祉法人の現況報告書等情報検索 の右側のメニューから検索できるので、現在働いている社会福祉法人やこれから就職しようかと思っている社会福祉法人名を入力し、検索ボタンをクリックします。

もしくは、調べたい法人のサイトで公開されている場合もあるので、法人名を検索して情報公開ページを探してみるのも良いかもしれません。

もし法人サイトで公開されていないなら、先ほどの情報検索サイトで探してみましょう。

検索してみると、該当する社会福祉法人が表示されますので、法人名をクリックします。

法人詳細情報ページが表示されます。

法人詳細情報ページ

平成31年度の計算書類の「ダウンロード」をクリックします。

ダウンロードしたファイルをクリックすると、圧縮されていたものが解凍され、ファイルが表示されます。

計算書ファイル

ここでは、ある法人のデータを使わせてもらいました。

事業活動計算書のPDFファイルをクリックすると、

法人単位事業活動計算書

事業活動計算書のPDFファイルが表示されます。

当年度が 2018年度で、前年度が 2017年度です。

人件費率は「人件費 ÷ サービス活動収益」なので、

2017年度は、サービス活動収益が 2,967,028,923円、人件費が 1,968,369,336円なので、

1,968,369,336 ÷ 2,967,028,923 ≒ 0.663 で、2017年度の人件費率は 66.3%となります。

同じく、2018年度は、サービス活動収益が 2,999,858,133円、人件費が 1,971,804,618円なので、

1,971,804,618 ÷ 2,999,858,133 ≒ 0.657 で、2018年度の人件費率は 65.7%となります。

2017年度は基準としている数字が66.8%に対し66.3%、2018年度が 67.1%に対し65.7%なので、基準としている数字よりも僅かですが少くなっています。

このように比較ができるので、「うちの法人は人件費率低いなー」とか「転職しようと思っているけど、あちらの法人の方が人件費率が高い!」といった比較が可能になります。

ただし、人件費率が同じでも職員数が多ければ1人あたりの給与は少なくなるので、その辺りも考慮しなければいけませんが・・・。

また、実際には、施設種別によって人件費率は大きく変わる(保育園がメインの社会福祉法人は人件費率70%超)ので施設種別ごとの比較が必要になってきます。

最後に

今回は、社会福祉法人の経営分析として、人件費率を計算し、独立行政法人福祉医療機構のデータと比較してみました。

この他にも社会福祉法人の経営分析として、労働分配率や労働生産性などの指標がありますので、このシリーズまだまだ続きます。