この本は、「長時間労働が常態化している」「付加価値の高い業務に注力できない」「ムダな会議、慣習、手順が存在している」など様々な仕事の悩みを解消し、チームとしての生産性を上げることを目的とした内容の本です。
人間関係と同じで仕事の悩みは尽きませんが、今回、本書をおすすめしたい方は、「特定の個人に仕事を依存してしまう“仕事の属人化”に悩む方」です。
本書のタイトル『チームの生産性を上げる』のとおり、“仕事の属人化”に特化した本ではありません。しかし、“仕事の属人化”について、かなり参考になりましたので以下で紹介をしていきます。
著者は、あまねキャリア工房代表で、業務プロセス/オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまね氏です。
仕事の属人化は悪?
仕事の属人化というと、担当者が休んだら他の社員は誰も分からず、仕事が止まってしまうといったことが一般的な属人化だと思います。
確かに属人化はとても生産性が低いです。できるだけ属人化はなくしたいものです。
でも、本当に「属人化は悪」なのでしょうか?
この発想、捨てましょう
と著者は言っています。
仕事の属人化は悪ではない?良いものだとでも言うのでしょうか?
属人化は悪いもの。今までずーっとそう思っていました。
属人化をゼロにするのは現実的ではありません。人が関わる以上、属人化は避けられません。
そう言われると確かにそうかもしれませんね。
チームで仕事をしている以上、ある程度の属人化は避けられません。担当している仕事だってありますからね。
だとすると、仕方なく属人化を受け入れるしかないのでしょうか。
属人化には「良い属人化」と「悪い属人化」があります。まずはこれを見極めましょう。
と著者は言っています。
では、「良い属人化」と「悪い属人化」とは一体どのようなものかというと、
・良い属人化 その人ゆえの付加価値が出せている状態
・悪い属人化 その人がいないと、そのチームが最低限しなければならない業務が回らなくなる状態
この悪い属人化を標準化することで、他の社員が仕事や業務をできるようになります。
良い属人化は残しながら、悪い属人化を標準化する。
これ新しい発想かもしれませんね。
標準化・マニュアル化。うまくやれば、業務の属人化を防ぎ、誰でも一定の品質と効率で業務を回せるようになります。
これができれば、誰が休んでも翌日まで仕事を引っ張るなんてこと無くなりますね。
標準化やマニュアル化のデメリットもありそうだけど、それよりも悪い属人化がなくなるメリットの方が大きそうです。
最後に
他にも仕事を属人化させず、自分以外に誰でもできるようにするための工夫やコツが書かれているので、業務の属人化を防ぎ、また、属人化に絡む様々な問題を解消したいと考えている方に手に取ってもらいたい本です。
また、最初にも少し書きましたが、“仕事の属人化”だけではなく、本書のタイトル『チームの生産性を上げる』のとおり、以下の仕事・業務の悩みを持つ方にもおすすめの本となっています。
☑長時間労働が常態化していて、早くかえれない、休めない
☑定常業務に時間を奪われ、付加価値業務に注力できない
☑突発的なミス・トラブルが起きると、予定がすべて狂う
☑時間を取られるムダな会議、慣習、手順を変えたい
☑上からの指示が曖昧。手戻り連発で非効率的!
☑横入り、肩代わりで、マネージャーが日に日に消耗
著者の沢渡あまねさんの他の著書としては、『仕事の問題地図』『職場の問題地図』(技術評論社)、『新人ガール 新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!』(シーアンドアール研究所)などがあります。